静岡大学浜松キャンパス設置の
RTK-GNSS用基準局データの常時配信について
2017年6月1日
静岡大学情報学部木谷研究室(代表:木谷友哉)は,株式会社シーポイントラボ(取締役社長:青木悠樹)の協力の下,静岡大学浜松キャンパスに設置された次世代衛星測位RTK-GNSS用基準局データを常時配信することにいたしました(※1)。
次世代高精度衛星測位のための情報をどなたでも問合せなしに無償で使用していただけます。
対応する受信機とともに,このデータを利用していただくことで,浜松キャンパスを中心とする浜松市中区の全域,東区と西区と南区の大部分,北区と浜北区の一部において,センチメートル精度の地上位置をリアルタイムに計測することが可能となります(※2)。
基準局からおよそ10kmが有効範囲となります。10km以内を保証するものではありません。
また10km以上の距離でも利用可能なことがあります。また,対応する受信機には本基準局からデータを得るためのインターネット接続が必要です。
図中の赤円は基準局から10km,緑円は15kmの範囲を示します。
© OpenStreetMap contributors
配信システム詳細
配信元サーバおよびポート |
hamamatsu-gnss.org:2101 ntrip.hamamatsu-gnss.org:80 |
配信サービス |
Ntrip Caster |
マウントポイント (プロトコル,更新頻度) |
SU_RTCM3(RTCM_V3,1Hz) SU_BINEX(BINEX,1Hz) |
認証ユーザ名/パスワード |
guest/guest |
対応衛星システム |
GPS(米国),GLONASS(ロシア),Galileo(欧州), 北斗(中国),QZSS(日本) |
80番ポートをお使いの場合のFQDNはntrip.が前につきます。現在の設定では,HTTPクライアント(ウェブブラウザ等)以外からのアクセスであれば hamamatsu-gnss.org:80 でもNtrip Casterに接続されます。
Ntrip での配信については,中部大学海老沼先生の解説記事が参考になります。
Reference: "Ntrip入門", OSQZSS, 2017年6月11日.
基準局詳細
設置場所 |
静岡大学浜松キャンパス(浜松市中区城北3-5-1)情報学部2号館屋上 |
座標位置(※※) |
北緯34度43分34.36456秒,東経137度43分5.85516秒,楕円体高112.475m |
XYZ (ECEF) 座標(m) |
-3882623.6210,3530650.3249,3613008.9616 |
使用機材(※3) |
Trimble NetR9,Trimble Zephyr Model 2 Geodetic Antenna |
木谷研究室では次世代高精度衛星測位に関する研究開発を行っており,2016年2月24日に静岡大学浜松キャンパスにRTK-GNSS基準局を設置いたしました。
現在は,株式会社シーポイントラボの協力の下,浜松市を次世代高精度測位研究開発都市とすべく環境整備を進めています。
基準局の設置については下記のウェブページにて紹介されました。
静岡大・浜松キャンパスにRTK高精度測位を実験するGNSS基準局設置
みちびき(準天頂衛星システム)ウェブサイト, 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局
2016年2月27日:http://qzss.go.jp/news/archive/hamamatsu_160227.html
本日,2017年6月1日,我が国の衛星測位システム「みちびき」2号機が打ち上がったことを機に,この基準局設備にて取得されましたデータを常時配信いたします。
なお,本基準点の成果は公共測量では使用できません。
今後は公共事業にも使用していただけるように整備を進める予定です。
今後の進捗についてはウェブサイト https://hamamatsu-gnss.org/ をご覧ください。
(※1) 24時間365日の常時配信を約束するものではありません。できるだけ中断しないように努めますが,キャンパスの停電や不測の事態での中断についてはご容赦ください。
(※2) 受信機のアンテナと測位衛星との間には障害物がないことが条件になります。アンテナが外に出ており,十分空が開けた屋外での利用を想定しています。
屋内はもちろん,街中のような建物の多い場所,郊外でも樹木など,電波を遮る障害物が多い場所ではセンチメートル精度を得ることは困難になります。
(※3) Trimble NetR9は国土地理院の電子基準点(1級基準点)に利用されているものと同じ機材です。
(※※)本基準局の位置(北緯34度43分34.36456秒,東経137度43分5.85516秒,楕円体高111.475m)については次のようにして求めています。
2017年5月1日(UTC)の24時間(1Hz,86400エポック)の観測データに対して,次の国土地理院の電子基準点の3点を参照局とし,RTK計測ソフトウェア(RTKLIB ver.2.4.3b27)により Static 測位演算を行いました。
異なる3つの参照局で計測した場合でも,絶対的な位置が水平方向で±10mm以内,垂直方向で±22mm以内に収束しています。
本基準局の位置は,これらのFIXした計測位置の平均として求めています。
なお各参照局単独で測位した場合の標準偏差は水平方向で±0.2ミリ秒(約4mm)以内,垂直方向で±8mm以内に収束しています。
国土地理院電子基準局の 番号および名称 |
基線長 |
FIX率 |
FIXした緯度経度の秒部分と高度の 平均±標準偏差σ |
最終的に決定した 基準局位置との差 |
04S048 |
S浜松 |
5.0km |
99.3% |
北 … 34.364875秒 ± 0.062ミリ秒 東 … 5.855327秒 ± 0.146ミリ秒 高 … 112m453mm ± 2.6mm |
-9.5mm +0.2mm -19.8mm |
071160 |
浜松A |
6.0km |
99.4% |
北 … 34.364338秒 ± 0.110ミリ秒 東 … 5.855414秒 ± 0.183ミリ秒 高 … 112m476mm ± 6.9mm |
+7.0mm -1.2mm -0.19mm |
970821 |
浜松伊左地 |
4.5km |
99.3% |
北 … 34.364485秒 ± 0.099ミリ秒 東 … 5.855283秒 ± 0.157ミリ秒 高 … 112m495mm ± 7.1mm |
+2.5mm +1.0mm +21.7mm |
テスト用移動局データの配信(2017年6月7日)
浜松から遠方にお住まいの方や,浜松でも受信機をお持ちでない方にもRTK-GNSSの効果を体感していただけるように,テスト用移動局の受信データの配信も行うようにいたしました。
こちらについては,恒久的な提供を予定しているわけではありません。御了承ください。
基準局と同じ Ntrip Caster にて配信しております。同じサーバで,マウントポイント SU_ROVER1 をご指定ください。
設置場所 |
静岡大学浜松キャンパス(浜松市中区城北3-5-1)情報学部1号館屋上 |
配信元サーバおよびポート |
hamamatsu-gnss.org:2101 ntrip.hamamatsu-gnss.org:80 |
配信サービス |
Ntrip Caster |
マウントポイント (プロトコル,更新頻度) |
SU_ROVER1(ubx (u-blox binary + NMEA),1Hz) |
認証ユーザ名/パスワード |
guest/guest |
使用機材 |
u-blox NEO-M8T,市販の車載用GPSアンテナ,車載用アースプレート(7cm角) |
補足衛星システム |
GPS(米国),Galileo(欧州),北斗(中国),QZSS(日本) |
報道について
静岡新聞 2017年6月7日朝刊29面,および,静岡新聞アットエスにて,本取り組みが紹介されました。
位置情報の精度、センチ単位に 静大准教授ら研究
静岡新聞アットエス,2017年6月7日
http://www.at-s.com/news/article/education/college/367429.html
内閣府宇宙開発戦略推進事務局のウェブサイト「みちびき(準天頂衛星システム)」にて,2017年6月12日,本取り組みが紹介されました。
静岡大がRTK-GNSS用基準局のリアルタイムデータを無償公開
みちびき(準天頂衛星システム),内閣府宇宙開発戦略推進事務局,2017年6月12日
http://qzss.go.jp/news/archive/hamamatsu-gnss_170612.html